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2006年2月12日 (日)

餃子と中国研修生の思い出

 会社を退職する最後の春、工場で中国人技能研修生を初めて受け入れるために、山東省煙台市に行った。この町には蓬莱楼というお寺がある。そこから八仙人(七福神)が海の向こうの島、蓬莱山を目指して、不老長寿の薬を求めて船出したことで有名なところである。中国では七福神ではなく八仙人である。船ではなく空を飛んで行ったという。八人のうち一人は神通力が足らなくて海に落ちてしまって日本についたのは七人だという。日本にはいたるところに蓬莱山という山があり、七福神の伝説があるところから、秦の始皇帝の時、不老長寿の薬を求めて日本にきた中国人(子供を1000人連れて船出したという)、たどり着いたのが和歌山の海岸、そのまま日本に永住したのは事実らしい。

 昨年の4月1日、関西国際空港に煙台市からの6人の研修生を出迎えた。18~25歳までの純朴な娘さんたちであった。一人で持てないほどの大きな重たい荷物を持ってやってきた。中身はほとんどが中国料理の食材であった。日本は物価が高いからと親が持たせてくれたのであろう。3ヶ月間、日本語の特訓を受けてきたとはいえ、まだまだ意志の疎通は少ししか出来なかった。漢字を書いての筆談が多かった。

 彼女たちが自炊生活できるため、5LDKの大きな一軒の借家を借りて、生活用品、電化製品、二段ベット、エアコン、、すべてを整えた。何をそろえれば良いか、リストを作り購入した。私の18年の単身赴任生活の経験は大いに役立った。

 日中電子手帳を一人ずつに渡した。工場での2週間の実習や受け入れ研修の最後の発表会では、研修で学んだことを日本語でプレゼンするという宿題を出した。毎日一生懸命に日本語でレポートを書いた。私もそれぞれの日本語の文章を添削した。そして発表会では立派に日本語で発表した。出席した工場、本社幹部は感激して目を潤ませた。

 彼女達は3年間、日本で必死に働いて、約200~300万円貯金して中国へ帰る。そして両親の為に借金を返し、4LDKの新しいマンションを買ってあげるのだそうです。「所長さん、残業は一ヶ月何時間させてくれますか」これが彼女達の最初の質問であった。

 人なつっこく、明るく、純朴で、良く挨拶をしてくれて、真面目に一生懸命に働く彼女たちの姿に、リストラで暗くなっていた工場の雰囲気も明るく、変化していった。

 総務部長さんが、ほんとに良くお世話し、休日には日本語の勉強、ワゴン車に乗せていろんなお花見やツアーに連れて行った。社員旅行で一緒に愛知万博にも行った。中国館は大喜びであった。中国の古典楽器を奏でる女の人達のショーを見ながら「所長さん、中国の若い女の人、綺麗でしょ~」。

 彼女達は私達を寮によく招いてくれて、本場の中国料理をご馳走してくれた。一人は中国料理点心のプロのコックさんだった。

 6月に私が退職した時、彼女達6人と日本語の先生、工場の総務部の人達、全部で14名を私のマンションに招いて、私の手作り料理でもてなした。冷蔵庫一杯の食材でどんどん得意料理を作るが、あっという間にお皿は空になった。さあ、中国料理も作るよ、と言うと、私達が作ると言って、手馴れた手つきで手際よく作ってくれた。

 楽しいパーテイーがお開きになり、玄関で彼女達を見送った時、いままでニコニコと明るく笑っていた彼女達の顔が突然ゆがみ、一斉に声をあげておいおいと泣き出した。私も涙で顔がくちゃくちゃになった。彼女達が寮に帰り着くまで車の中で泣き続けていたという。

今は全員、日本語も上達し、昨12月には日本語検定3級の試験にチャレンジしたという。

この間、静岡の蜜柑を一箱送った。昨秋には我が家の甘柿を送った。

餃子を作るたびに彼女たちのことを思い出す。

 彼女達はぺちゃぺちゃとにぎやかにおしゃべりしながら、粉を練って、棒で伸ばし、小さくちぎって、伸ばして、中身を包んでどんどん作っていく。凄いスピードである。ほとんど手元を見ていない。それを煮立った鍋の中に入れて水餃子にする。

 自分も姫路のマンションで数日ごとに中国本場餃子にチャレンジした。なかなか奥が深い。焼き餃子、水餃子、、いづれも美味しい。

 今夕飯には、長女の大好きな餃子を作った。長女も中国に居たことがあり、中国人の友人が多いために、餃子に関してはなかなかうるさい。

 普通の牛豚合びき肉に白菜、ニラ、ベースのものと、タバラカニの身を使ったカニ餃子を作ってみた。パリッとした感触、口の中いっぱいに広がる香ばしい香りとジューシーな肉汁、、、水餃子も焼き餃子も美味しかった。全部で100個作ったが、ほとんど食べてしまった。

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コメント

おはようございます。
僕も山東省の隣の江蘇省に3年駐在していたので、懐かしいです。
煙台の対岸の大連は、中国でも珍しく?焼き餃子を食べますね。

投稿: ぞう | 2006年2月14日 (火) 06時57分

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